水産庁は14日、「平成24年度水産白書」を公表した。
今回は「重要魚種(ウナギ、シロザケ、サンマ)の不漁とその対策」「太平洋クロマグロの資源管理の強化」など4項目がポイントになっている。このうち、ウナギ緊急対策として発表された項目は以下のとおり。
「養鰻業者向け経営対策」
(1)金融対策-ウナギ養殖のための運転資金の借り入れを融資・保証により支援
(2)配合飼料対策-養鰻業者が行う低コストの配合飼料の実用化試験の取組を支援
「放流と河川生息環境の改善」
(1)放流-養鰻業者が行うウナギの放流を支援
(2)多自然川づくりの推進-河川が本来有している生物の生息・繁殖環境の保全等のために河川管理者が行う多自然川づくりに、漁業関係者が連携して協力するよう要請
(3)漁業者による生息環境の改善-漁業関係者が内水面の生態系の維持・保全・改善等ウナギの生息に即した環境づくりを行うよう、協力を要請
「国内の資源管理対策」
ウナギ資源管理に係る以下の取組について、地域関係者の話合いと検討を促進
(1)親ウナギの管理
・漁協による増殖の取組を多様化・効率化
・産卵に向かう親ウナギの漁獲の抑制
(2)シラスウナギの管理-各県の採捕実態を再点検し、河川への遡上を確保
「国際的な資源管理対策」
ウナギ資源(ニホンウナギ)を利用する中国、台湾等と継続的な協議を行う枠組の構築と、これらの国・地域との情報・意見交換による資源管理の協力を推進
「調査・研究の強化」
(独)水産総合研究センターに、増養殖、資源、生態などの分野横断的なプロジェクトチームを立ち上げ
(1)シラスウナギ大量生産技術の確立-良質卵の生産技術の開発や、新たな初期飼料及び飼育方法の開発等の研究を実施
(2)ウナギの生態や資源についての調査-天然ウナギの海洋での産卵回遊行動の調査や、河川、汽水、沿岸域における天然ウナギの分布状況調査等を実施
水産庁では「ニホンウナギの資源保全のためには、資源に悪影響を及ぼしていると考えられる個々の要因に対して適切な措置を講じていくことが重要」としている。