竹川典孝取締役
(株式会社うな昇/名古屋市名東区)
〝錆つかない商売〟を心がける
消費税増税以降、売れ行きに変化は出ているか?
「4月より消費税増税分を販売価格に上乗せ致しました。値上げ後の来店されるお客様は常連のお客様(年齢層50歳代後半以降、御夫婦)は来店回数や御注文頂く商品に変化はありません。それ以外の一般のお客様や仕事関係のお客様は4月中旬頃までは少し減少した様に見えましたが、後半には通常通りに回復した様にみえます。4月、5月も売上額に増税が影響した様には感じられませんでした」
一方、資源保護についてはどう考えているか?
「6月12日に国際自然保護連合のレッドリスト改訂版にニホンウナギを含むウナギが掲載されました。資源保護の問題だけを考えるのなら業界全体でシラスの漁獲制限とそれに伴う販売規制はしなければならないと考えます。しかしながら、業界全体の立場による違い等で一つに考え方をまとめるのは困難だと思われます。国(水産庁)が主体となって業界の中の代表者の意見をまとめて調整する会を早急に立ち上げてウナギ資源保護の方向性を決めるべきだと思います。
隣国(中国、台湾、東南アジアの国々)の関係者とも協議してアジア全体でウナギ資源保護を考える事を望みます。ウナギ資源保護の問題は数年で解消できる問題ではありません。これから恒久的に業界全体が環境問題と向き合って商売を続けていく事を忘れてはいけないと思います」
またウナギのPRについてはどうしていくべきか?
「レッドリストに掲載されてからは以前の様な大量消費を狙ったPRはできなくなっていくと思います。そんな中で『蒲焼店』が出来る事はやはり一匹ずつのウナギと向き合い一人一人のお客様に丁寧な仕事で提供し続ける事に尽きると考えます。先人達が考え出した鰻料理の歴史や文化をユネスコ無形文化遺産に登録された『和食』の一部だと考え、お客様にこれからも商売を通じて伝えて行くことが大事だと思います」
近年、ウナギ業界は資源、そして低迷する消費の問題などが山積している。うなぎ屋さんとして今後、どう進んでいくべきか。
「これからの鰻料理店は鰻料理の専門性を高めて維持し続ける事に主軸を置きながらも変化し続けて行く時代にも視線を向ける事をしなければいけないと思います。鰻料理店以外の業種からも積極的にアイデアを取り入れて鰻料理店のイメージの固定化を避けて『錆つかない商売』をしていかないととお客様に飽きられてしまう時代が来るかも知れません。
SNSによる蒲焼屋さんの交流は拘束時間の長い商売をしている中ではとてもありがたいと思っています。SNSの結びつきの次は直接お会いして会話を交わす事でより良い関係を築けたらと考えています」
[データ]
〒465-0025 愛知県名古屋市名東区上社4-103
電話:052-703-7817

*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中