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「蒲焼店が考える“これから”」21 〜2014年9月15日号掲載〜

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三代目 岩本公宏氏
(日本橋いづもや/東京都中央区)

『目の前の仕事を愚直に追求する』

今夏のウナギ業界は“ニホンウナギの稚魚好漁”、“レッドリスト登録”など大きな話題を呼んだが、今夏を振り返ってどのような変化、影響があったか。

「“うなぎが食べられなくなるの?”、といった声はやはり多かったです。なかには、“ウナギは養殖されているのに、なぜ絶滅危惧種に指定されたの?”といった声もありました。業界では当たり前の事でも一般消費者はそうではないのでわかりやすく、端的に説明させていただきました。また“今年は稚魚が採れたんでしょ?”という問い合わせも多かったです。それだけ多くの話題を振りまいたことでウナギの露出度も高まり、客入りは例年以上に多かったです。一時、メニュー価格の値上げで減少していた若年層も幾分、戻ってきています。“高い、高い”と煽った昨年のメディアの報道に比べると、今年はまったくの逆の展開でした」

先般のニュースで、完全養殖クロマグロの稚魚量産化に民間大手が参入、先行き期待感が強まっている。一方、業界関連となる完全養殖ウナギの商業化についてはどうだろうか。

「完全養殖ウナギの商業化に向けて研究、開発が進んでいますが、マグロの例にもあるように民間大手が参入し、多額の予算が投資されれば、商業化はもっと早まるのではないかと思います。ちなみにウナギ資源保護については近いうちに行われる東京鰻蒲焼商組合青年部の会合で、私どももどのように向き合っていくべきか、意見交換を行う予定にしています」

資源問題と並び、課題のひとつであるウナギ職人問題だが昨今、どんな状況にあるのか?

「求人を出してもほとんど若い人は入ってきません。それこそ“5年に1人”、“10年に1人”のレベルです。それよりも、やはり“縁”だと思います。“若い子がいるんだけど・・・”そうした話が最初のきっかけとなりますね。求人するよりも、そうしたきっかけがこれまで多かったように思えますし、実際に調理師学校に入り、ウナギ職人を目指している人は少ないと思います」

実際、どのような指導を心掛けているのか。

「今いる若い職人さんに対して昔のように辛い、孤独な思いをさせず、家族のように接し、苦しさの先には楽しいこともある事をわかってもらえるよう指導しています。職人としては無論、人としての教えもしっかり伝えていくよう努めています。また、人は誰でも細かく注意されるのは苦手だと思いますから、私はあえて若い職人さんにはお客さんがアップしたブログの画像、コメント等を見てもらいます。そこで自身が作った料理を見る事で反省すべき点は反省出来るよう“気づかせる”ようにしています。この職人という仕事は確かにきついですが、手に職を持つ事はかけがえのない財産になることを伝えていきたいですね」

鰻屋はこれからの時代、どう乗り切っていくべきか?

「鰻屋も、ウナギ資源と同様、“絶滅危惧種”と言っても過言ではありません。それだけに、楽をせず当たり前の事を当たり前のように、目の前にある仕事を愚直に追求していくこと。原料にこだわり、常に良い仕事を心がけ、その日の原料はその日に出す事を常に心がけています。こんな厳しい世界だからこそ、お客様には心地よくいられる環境を提供し続ける事も大切ですね」

[データ]
「日本橋いづもや 本店」
〒103-0021 東京都中央区日本橋本石町3-3-4
tel:03-3241-2476

三代目 岩本公宏ブログ用.jpg

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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